モーブ

color_20130825_1 (季節の花300より)

この花をご存知でしょうか?先週、「(くれない)」で少し触れた人類初の合成染料に与えられた色名が、この花の名前なのです。日本語では「ゼニアオイ」と呼ばれていますが、その紫色の合成染料は、フランス語で「モーブ」と名付けられました。でも、この染料を開発したのは、フランス人ではなくて、イギリス人なのですよ。その人の名は「パーキン」、色の世界ではかなり有名です。化学者の卵だったパーキンは、コールタールから解熱剤を合成しようとした実験中に、偶然抽出した物質を元に、この花のような明るい紫色の染料を開発したそうです。1856年のことです。

合成染料が無い時代、「紅」も貴重でしたが、紫は、洋の東西を問わず、とっても貴重な色でした。日本では、紫草(むらさき)という植物の根を大量に集め、西欧では、貝紫という小さな貝を大量に集め、大変な手間をかけて染色していたので、高貴な色とされていました。初の合成染料が、この紫だったのは、ステキな偶然です。その後、色々な合成染料が開発されて、今では、どんな色でも簡単に手に入るようになりました。

合成染料が溢れる時代、植物染め(草木染め)に、心を惹かれる方も多いと思います。以前、植物染めで有名な吉岡幸雄先生の講演会に参加させていただいたことがありますが、なんとも言えない素晴らしい色彩の世界です。ご興味のある方は、先生の公式サイト「紫のゆかり 吉岡幸雄の色彩界」を、ぜひご覧ください。

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