色の基礎知識

色の三属性

色は無限にあるといっても過言ではありません。その無限にある色と色を合わせるカラーコーディネートでは、まず色を分類して整理整頓しておかなければ、頭がごちゃごちゃになってしまいます。色を分類するために欠かせないのが、「色の三属性」といわれている色が持つ3つの要素です。私たちの眼は、1つの色を見た時に、3つの性質に分けて見分ける能力を持っている!って考えるとわかりやすいかもしれません。これがわからなければ、色の事がほとんど理解できないというぐらい大切な事なので、必ずマスターしてくださいね。

色相

1つ目の要素は「色相」、色みの事です。「赤っぽい」とか「青っぽい」とか「何色っぽいか」って事です。例えば、赤は赤でも色々な赤がありますが、「赤っぽい色」は「色相が赤」の仲間だと考えます。

hue

慣れないうちは、絵の具を混ぜてみるのもおすすめです。頭の中で絵の具をイメージしてもいいのですが、実際に混ぜてみると楽しく勉強できますよ♪そして、上の図のように分けると、ピンクは赤に白を混ぜたら出来る色、茶色は赤に黒を混ぜたら出来る色なので、どちらも「色相が赤」の仲間である事がわかります。青に白を混ぜたらできる水色の色相は、青ですね。
他にも「色相が橙」「色相が黄緑」・・・などに分けて考えるようにすると、スッキリ整理できます。

circle

システムにより異なりますが、「花色ハーモニーメソッド」では、「花色カラーサークル」にある10色相で、頭を整理していきます。つまり、色相(色み)のものさしに、10のメモリをつけているということです。この10色は、白・黒・灰色が混ざっていないピュアな色なので、ピュアカラー(純色)といわれています。無彩色(白・黒・灰)には色相がありません。

明度

2つ目の要素は「明度」、色の明るさの事です。すべての色が、明度を持っています。色の中で一番明るい色は白、一番暗い色は黒です。ピュアカラーの中では、黄色が明るく、青や紫は暗い色です。また、ピュアカラーに白を混ぜると明るくなって、黒を混ぜると暗くなります。明るい色を「明度が高い色」、暗い色を「明度が低い色」といいます。

value1
無彩色には色相がないので、左のように黒から白まで灰色を明るさの順に並べると、明度がよくわかります。これをグレイスケールといって、明度のものさしにしています。どの灰色と同じぐらいの明るさか、横に並べて比べて測ります。
カラーサークルにあるピュアカラーの明度を測ってみると、黄色が明るくて、赤は中ぐらい(中明度)、青紫は暗めの色ですね。

他の色も、このようにしてグレイスケールを使って明るさを調べる事ができますよ。
value2
黄色にたっぷり白を混ぜた色は、白に近いとても明るい色、青に白を混ぜた水色も、かなり明るい色だということがわかります。
赤に黒を混ぜた茶色や、緑に黒を混ぜた深緑は、暗い灰色と同じぐらいの明るさ、つまり暗い色だということがわかります。

彩度

3つ目の要素は「彩度」、色の鮮やかさの事です。色を見た時に、派手な色とか地味な色とか感じますよね?時々明るさと混乱している人がいるので、再確認しておきましょう。
これも、絵の具で考えると、わかりやすいですよ。
chroma※パーセントは、あくまでイメージです。

一番右にある真っ赤な赤は、カラーサークルにあるピュアカラー(純色)です。この赤は、白も黒も灰色も含まれていない100%赤い絵の具だと考えます。そして、左側にあるグレイスケールで明度を測って、同じ明度の灰色の絵の具を、その赤に混ぜていくと思って下さい。赤100%に灰色を少し混ぜて、赤75%灰25%になったお隣の色は、あざやかさが少し減ります。地味になっていますよね。もう少し灰色を足して、赤と灰色半々になった色は、もっと地味になっています。赤25%、灰75%だと、かなりグレイッシュになって地味な感じです。そしてとうとう灰色100%になると、あざやかさ0%、彩度の無い無彩色になります。ピュアカラーが一番彩度が高く、無彩色に近づくほどに、彩度が下がっていきます。
この図は、赤に灰色を混ぜた例ですが、白や黒を混ぜても彩度は、どんどん下がっていきます。赤以外のピュアカラーでも、同じです。

鮮やかな色を高彩度色、地味な色を低彩度色といいます。有彩色には三属性が全部ありますが、無彩色には色相も彩度もなく、明度だけがあります。

色の名前と記号

色を人に伝える時、どのようにしていますか?実物を見せることが出来る場合は「こんな色」って見せれば簡単ですが、見せられない場合、日常会話では、色に適当な名前をつけて話している人が多いと思います。コスメなんかを買いに行く時は、お気に入りの色番号で店員さんに伝えるかもしれませんね。
実は私たちは、同じ色を違う名前や記号で表したり、違う色なのに同じ名前で呼んだりしているんですよ。ここでは、色の名前と記号についてご紹介します。

色名

色の名前の事を「色名(しきめい)」といいます。言葉で色を表す時に使います。大きく分けて3つのやり方があります。
★基本色名★
赤・黄・緑・青・紫・黒・白など、色の事だけ表す言葉を、基本色名といいます。JIS日本工業規格では、こんな色を皆んなで赤と呼ぼう!というように規定されています。日常会話では、日本語で生活している人が、だいたいこんな色をこう呼んでいる・・・という感じで使っています。
★系統色名★
基本色名に修飾語をつけて、「青は青でもどのような青なのか」というように表す方法です。例えば、「明るい青」「あざやかな緑みの青」「ごく暗い紫みの青」・・・というようにして、色相・明度・彩度の説明をする感じです。これもJISに規定されたやり方があります。ちょっとわかりにくいのが欠点ですが、三属性を理解している人だと、ほとんどの色をこの方法で言い表すことが出来ます。
★慣用色名★
色鉛筆やコスメなどに、ステキな名前がつけられているのを見かけたことはありませんか?色の名前って、勝手につけちゃっていいんですよ。例えば「クミコピンク」なんて人の名前でもOKですが、クミコさんが誰だかわからないような場合は、どんなピンクかもわからないので、そういう場合は「固有色名」っていわれています。茶人、千利休にちなんで抹茶のような鼠色を「利休鼠(りきゅうねず)」といいますが、これは誰でも知ってる有名な人なので「慣用色名」といわれています。「桜色」「珊瑚色」「ココアブラウン」などなど誰にでもわかりやすい何かに例えて言うような方法です。JISでは269色規定されています。情緒的で、わかりやすいのですが、すべての色を網羅することができません。例えようのない色も多いですからね。

色記号

日常会話では、私が伝えたかった黄色とあなたが想像した黄色が少しぐらい違っていても、そんなに問題にならないでしょう。でも、お客様が思っていた色をきちんとご提供できなかったらトラブルになりますよね。そこで、間違いがないように、色に記号をつけてカタログに載せたりしています。色の記号には、様々な種類があります。メーカーさんが付けたオリジナルの記号もありますが、次にご紹介する「表色系」の記号などもあります。フラワーアレンジメントの世界では、あまり記号は使いませんので、まずは言葉で表現できるように、お勉強されるといいですよ。

表色系

世界中に様々な「表色系」といわれている色彩体系があります。色の並べ方などの規則を決めてシステム化した「色のものさし」のようなものです。色に数値や記号をつけて、分類したり整理したり伝えたりすることができますので、正確さを求める場合には、不可欠になってきます。様々な表色系の中から、目的にあうものを選んで、活用することが大切です。

三属性や色名などに慣れたら、次は表色系の勉強をすると、色への理解がより一層深まりますよ。フラワーアレンジメントだけではなく、ファッション、メイク、インテリアなど日常生活のカラーコーディネートにも、活用できるようになります。

PCCS

フラワーアレンジメントのために色の勉強をするなら、イチオシの表色系です。
1964年、(財)日本色彩研究所が発表した日本製の色のものさしです。

明度と彩度の近い色のグループであるトーン分類が特徴で、配色の計画を大掴みに考える場合、とても使いやすいシステムです。色数(ものさしのメモリ)は少ないのですが、お花の場合、そんなに厳密に表示する必要もないので十分だと思います。初めて色の基本を勉強する人にも、わかりやすい内容になっているので、中学校や高等学校でも導入されているシステムです。切ったり貼ったりして勉強できる配色カードも、リーズナブルなお値段で、本屋さんや画材屋さんで簡単に購入できます。

色彩検定の3級テキストと配色カードで独学も可能、検定試験は個人で申込みもできるので、チャレンジしてみてはいかがですか?
詳細は、色彩検定協会のサイトで、ご確認ください。

受験の有無にかかわらず、内容的にとてもおすすめなので、ぜひお勉強してみて下さい。詳しい内容については、また投稿でもご紹介いたします。

マンセルシステム

超有名な表色系なので、ご紹介いたします。1905年にアメリカの画家マンセルが創案して、1943年にアメリカ光学会が修正しました。

JIS(日本工業規格)に採用されているので、壁紙やペンキの色などインテリア関係をはじめ、産業界で多く用いられています。ものさしのメモリが多いので、わずかな色の違いを表示する事ができます。PCCSの色相環のメモリは24色ですが、マンセルのメモリは100色で、もっと細かく表示したかったら小数点以下1桁まで使うことができます。色見本も販売されていますのが、主に業務用なので、PCCSの配色カードに比べると、かなり高価になります。

フラワーデザイナー検定のテキストにも登場、アートや美術関係の学校では、必修になっている表色系です。色彩検定では、2級テキストで勉強できますよ。

他にも、光の混合量で考えるシステムなど、有名な表色系がありますが、フラワーアレンジメントのために色の勉強する場合、PCCSとマンセルをマスターすれば十分だと思います。

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